四季折々

体験した作品の備忘録

復活の日

 なんとなく目に入って視聴したらある意味タイムリィな作品?
部隊は米ソ冷戦期1980年代。細菌兵器として作成されたMM88が事故により世界中に蔓延。これはあらゆるウィルスの毒性を強化し、風邪ですら致死の病となる驚異の兵器であり、人類はわずか数ヶ月でほぼ全滅した。しかしこの細菌兵器が零度以下では活動停止するという特性により、南極にいた各国の調査隊のみは感染することなく生き延びていた
 空気中のウィルスを採取してワクチン製造を試みるなど、再び南極の外へ出る方法を模索する調査隊であったが、地震予知の研究をするヨシズミによって、ワシントンにM8.5~9レベルの地震がおそらく起きると発覚。仮に地震が起きればアメリカの自動核報復装置が誤作動→ソ連の報復装置が作動→南極の基地も秘密研究施設と疑ってたので対象となり核攻撃により全滅することになり、それを阻止するべくヨシズミとカーターの2人はウィルスの中決死の覚悟で突入する…というお話
 最初はウィルスをどうこうして人類再建かと思っていたのに物語開始時で南極の八百数十人を残して全滅なので恐れ入る。しかも全滅するまでの世界中の暴動や病院の大パニック、死体焼却に戒厳令と徹底的に克明に描かれているので現実のコロナウィルスを思わせることも相まって気が滅入ることこの上ない。ヨシズミの恋人が友人の家を訪ねてからの流れとか陰鬱すぎてしばらく視聴中断した
 反面、後半のミサイル発射阻止のパートからはなんかぐだぐだというか行き当たりばったりというか、ツッコミどころが多かった。そもそも軍事施設入り込んで発射阻止の操作しないといけない時点で行くべきは米国の軍人だろうに、なんでカーターの助手がヨシズミなんだ。や、主人公としてヨシズミが主軸だからキャストとしてはわかるんだけど、そこに作中の説得力を持たせてくれよと。案の定カーターが不慮の事故で動けなくなったために、何すればいいかわからないヨシズミがパネルの前でわたわたしてたらミサイル発射されてしまった。ここほんとにえぇ…ってなった。発射阻止して人類はまた歩んで行けるんだってオチかと思ったら二度目の全滅となったって字幕入ったからね。復活しろよ
 あと南極外の人類はワクチンの作り方がまったくわからなくて死滅するんだけど、南極の博士は採取して1ヵ月足らずで効果は保証できないとか言いつつ完璧なワクチン作成しちゃうんですよ。上陸直前に注射してばっちり生き残れるぐらい完璧。放射能当てたら出来たわとか言ってたけど、少なくとも南極の基地レベルの施設で1人で出来るものを世界中の研究者は誰一人作れなかったのか…?と疑問に思った
 結局一人になってしまったヨシズミは、万が一に備えて基地から避難させられた人々を探して南へ歩き続ける旅に出る。ここはとにかく切実で背景の広大さと人の小ささとBGMの美しさが一体となって、何とも言えないはかなさを感じた
 物語はわずかな集落レベルになってしまった避難民の中のヒロインとヨシズミが再開して終わり。うん、これもまぁ美しいっちゃ美しいんだけど、真っ先に出た感想は復活できてねーじゃねーか!だった。老若男女合わせて30人弱じゃもう絶滅を待つばかりじゃないか…
 感想としては、全体的には間違いなく面白い。2時間半ぐらいあったけどほぼノンストップで見るぐらい力強さと魅力がある。こまごましたエピソードや人間関係省いちゃったけど、メインシナリオをどっしり支えて引き立てる濃密な展開が続くんですよ。あと風景がいい。雄大な海や生き物を存分に映し、作品の空気をより一層味わい深くしている。それだけに後半の展開が個人的に惜しい。同じ阻止失敗でも本編のはもうちょっとやりようあっただろとツッコんでしまうので、あぁ失敗したという絶望感ではなくえぇ…という呆れが先に来てしまった。あとはやっぱり、希望のある終わり方が見たかった。タイトル通り復活を予見させるようなオチにしてくれればもっとすっきりした気持ちでエンディング見られたんじゃないかなぁ…このあたりは完全に好みだろうけど