四季折々

体験した作品の備忘録

終わる世界とバースデイ Epilogue

 場面は変わって昼、スカイタワーの前。ここはと問う主人公に、世界が終わる間際の二人だけの世界と返す入莉。主人公はそんな入莉を見て、彼女はもう入莉であって入莉じゃない、別の自意識を持った存在だと感じる。もはや設定に縛られる必要もないのだから、弱視を解除して自分の目で世界を見てみたらと提案する主人公に賛同し、弱視を解除する入莉。瞳の色が赤からアメジストのような色に。しばしの会話を楽しむ二人だったが、いよいよ別れの時が。私たちを生み出してくれてありがとうと再びいう彼女を見て、今まで自分のそばにいたのは入莉ではなく、彼女自身だったのだと感じ、そして、入莉としてではなく目の前にいる彼女自身を大切に思っていたと気付く主人公。そんな彼女に対し、9/29を入莉だけじゃなく、彼女自身の誕生日としようと提案し、彼女に名前を付けようという主人公。冬谷イリという名前を与えられ喜ぶイリ。そして疑似現実が終わった
 疑似現実終了から数年後。陶也は疑似現実が凍結されても人工知識体計画を諦めきれず、日本を出る。以降主人公は会っていない。悲しいなぁ。主人公はプログラマとして勤務しているらしい。主人公が立ち寄ったのはある建物の前。てんくうタウンでスカイタワーが立っていた場所に実際にスカイタワーが建設途中にある。毎年9/29にはイリのハッピーバースデーをしてるとモノローグでつぶやく主人公。律儀だな
 そんな主人公のもとに見知らぬ番号から電話がかかってきた。開くとそこにはイリの姿が。慌てて声をかける主人公だったが、これは録画した映像と音声で、ある日付と条件を満たすと電話がかかるようカサンドラに頼んでインターネットに残してきたらしい。ある日付とは誕生日、条件とは近くに大きなビルか電波塔があること。電波塔をよーく見ていてというイリの声に従い、目の前のスカイタワーを見た主人公の前に、大きく光る「happy barthday」の文字。これだけでもかなり来たんだけど、このシーンのCGとともに流れるエンディング曲がまたね。もともとこのゲームに興味持った理由がこの曲だったから、本当にグッと来た。電話から聞こえてくるイリの声に耳を傾けつつ、綴り間違ってるじゃないか、教えたのに…と考えながら泣き崩れる主人公。この綴り間違いは入莉じゃなくイリと作った思い出なんだな。そして電話からイリが語り掛ける。「ハッピーバースデイ。今日からまた、新しいあなたの始まりですね。誕生日が来る度に、あなたがこの世界で生きていることを、どうか噛み締めてください。この世界はきっと、あなたが思っているよりもほんの少しだけ、優しいと思うんです。わたしはここから、あなたの為に、何度でもハッピーバースデイを繰り返します。忘れないでください。わたしの未来は、あなたと共にあるということを。ハッピーバースデイ、兄さん。あなたの誕生日と、あなたのこれからの未来が、幸せなものでありますように。ハッピーバースデイ、トゥーユー」