四季折々

体験した作品の備忘録

千年女優

 大女優藤原千代子の一生を、映画と現実を入り混じえながらインタビューを通じて追いかけていくお話
 映画女優にスカウトされた千代子は、道で偶然ぶつかった男性を、警察からかばい逃し、手当をしてやり、その後自宅の蔵に匿い、交流を深める。その中で男性が首に鍵をぶら下げていることに気づいた千代子の目線に、男性は大切な物を開けるための鍵だと答える。しかしある日、血に濡れた雪の上に男性の傷口を縛っていた布と鍵が転がっていた。男性を蔵に匿っていることが露見し、警察が家に来たのだ。男性は駅に向かったと知り必死に走るも、あと僅かというところで追いつけず、ホームで転んだ彼女は顔を上げ、必ず会いに行くと声を上げる…という初主演映画のラストを懐かしむ千代子とインタビュア。ここから先も映画と現実がごちゃ混ぜになりながら話が進む。というかインタビュアたちが回想の中に実際に入り込んでいる。かと思えばやっぱりあくまでただの回想かのような描写もあって、正確にはわからない。考察サイト巡っても結局分からなかったけど、これのおかげで楽しくなってるのは間違いないから、演出だと思うのがしっくりくる
 この映画はとにかくキャラがよく走る。最初の駅に走るシーンから始まり、その後も映画が変わるたびにとにかく走っている。ひたすら鍵の君を追いかける千代子の姿を映している映画だ。それで90分飽きるどころか息もつかせぬ内容なんだから凄い。とにかく映像がめまぐるしい
 ストーリィに関しては未だにわからないこともあるけど、それを無視しても問題なく楽しめる映画。最後のセリフは色々と考察が分かれているけど、個人的には例え鍵の君に一生会えない人生でも、一生追いかけ続けた自分が大好きで、悔いのない生き方だったということだと思いたい。鍵の君すらどうでもよくて、ただ彼を追いかけてる自分が好きだったという解釈も筋は通ってるんだけど、好きじゃない